投草
投草
盆に米や芋や銭などを載せて、祝儀として出す。これを投草という。この投草は、中立が必ず讃めてからいただかねばならぬ。それ故馴染の所では、歌が聞きたさに「是は何と讃めて何と出す」と、投草に色々の工夫をさえした。栗原郡清水目の鹿踊の白鳥氏の談によると、前の師匠は讃めごとの上手で、どのような投草にも巧みに歌を出した。或る時困らせの積りか、膳の上に蟾蜍(ふるだびき)をふじからがけにして、その上に僅かばかりの銭を載せて出した人があった。この時も即座に、
〽膳の上にふるだびき ふじのまきがり出されて 腰の口銭僅かなりけり
と歌った。また、三宝の上に、米一升と立鳥帽子に刀を添えて出されたことがあった。この時には、
〽お米の上に立鳥帽子 重代刀を供へおかれた 恐れながらもこれで頂く
と、刀諸共に頂こうとしたので、当人は慌てて、刀だけはやっと返してもらったという。このようないきさつを喜ぶ心のゆとりは、もう今の人たちにはなくなったようである。
<鹿妻鹿踊りの種類>
入羽・中入羽
雌鹿隠し(めじか・かくし)
鹿の子踊り
綱踊り
案山子踊り
墓踊り
その他の踊り
投草
公開日:
最終更新日:2014/10/29