鹿妻獅子踊りとは
鹿は八頭で、その基本的な並び方は、前列中央に中立(胴とりとも)、その左右に前立、その両前立の後に縦に二頭宛(この者には別に名はない。但し他ではガワという)、中央をあけて中立の真後に雌鹿という真四角な陣形になる。鹿八頭の外に、もとはししあやしという道化面をつけたものが一人出たが、今は出ない。鹿の装束は左の如くである。
鹿頭――木製、黒地、四つ枝の本物の鹿の角をつける。この角は根元を白紙で包み、その上に水引紐をかける。雌鹿の角は他に比して小さい。この頭を、蒲団様の頭当てをあてて冠る。
前幕――頭(かしら)より垂れている紫地の幕(麻二巾)の中央に抱茗荷に九曜の星を画き、中立のものには「奥山行山」他はただ「行山」と白く染め抜く。
左右の幕――前幕の左右に同じく頭(かしら)よりやや長く垂れている幕。のしを画く。
しだ――頭からは長さ一尺七寸内外の馬の毛が、その上方を撚り合せてふっさりと垂れる。これを「しだ」という。
ながし――袍や千早などの後に長く引く部分に当る。巾六寸五分、長さ五尺三寸内外のもので、しだの上より垂れている。このながしには、もと上り龍・下り龍・牡丹に唐獅子等が画かれてあった。
角巻――巾一寸九分程の狭く長い布が、図の様に角を巻いて、ながしの縁に沿うて垂れる。
しだれ――太い竹を二つに割り、背合せにし、肩巾に離して下方より約一尺九寸程の所に木を渡して固定せしめ、更にその上方一尺二、三寸毎に糸を梯形に渡す。竹の第二の節より上を六つ宛に割り、その一本々々に細長い白紙の一辺を櫛の歯の様に細かく刻んだものを上辺として巻き下し、この六本のささら竹を平たく綴じる。竹の長さは、中立のが一丈二尺、他は一丈(中立一丈三尺、他一丈二尺、雌鹿一丈一尺とも、)これを銘々背負うのである。この竹の事を「ささら」と言っている所もある。
ししこ――所謂猿児で、中に綿を入れて赤い布を小さく三角形に縫いくるんだものをしだれに渡した横糸に吊下げることがある。これは娘達がじみに(健全で)育つ様に、縫物が上手になる様にと願って奉納するもので、古いのを頂いてはこれをお守り代りにすることもある
太鼓――腹に直径一尺二寸、巾一尺の太鼓をつける。
外に別仕立の襦袢(腰までのもの)・ござ袴(大口。もとは前後に、波に兎などが描いてあった)・手甲(中立・前立は浅葱、他は白)・脚袢(たてばやしのもの)・足袋(中立・前立が白、他は紺)・切緒の草鞋。
ほめごとの外に、十二庭とて、左の諸曲を伝えていた。尤も昔は四十八踊とも言われ沢山の曲があった。
人羽 中人羽 松島踊 綱踊 三人めぐり 案内子踊 鹿(か)の子踊 かけや踊 墓踊 女(め)鹿(じし)隠し 深山(みやま)隠し 笹踊
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最終更新日:2014/10/31