入羽(いりは)・中入羽(なかいりは)
昭和五年秋、鹿石神社祭見学の折得たものにより、次に踊の様子を誌しておく。
入羽・中入羽
庭に入る前に、銘々が塩を振って清めをする(家々では予め盆に塩を盛って出しておく。)
門前に先の陣形で正しく並ぶと、門讃めの歌を歌う。すぐ太鼓が入り、右に左に送り足を
して踊り、太鼓がやむと歌がつづき、すぐまた太鼓になる。太鼓の縁をも盛んに使う。
ドンドコ ドンドコ ドンドコ ドンコン ドンチキ チッチキ チ
というのがその打ち方の基調の様である。
この入羽の歌として讃め歌四つを伝えているが、実はこれらの歌は、夫々門・倉・厩・庭等の前でうたうという。
門讃め 〽参りきて 是の御門を見申せば 檜(ひのき)さはらの門建てて 今年目出度き白銀(しろがね)の門
倉讃め 〽参りきて 是のお倉を見申せば 数の俵数(ひょうし)を積んでおかるる
厩讃め 〽参りきて 是のお馬屋(まや)を見申せば 桔梗刈萓刈りまぜて これのお馬屋は花でかがやく
庭讃め 〽参りきて 是のお庭を見申せば 四方四角 桝形の庭
右の四首を歌い終えて門を進み入ると、「入羽踊」になり、背をくねらし、しだれをたわめる等の振がある。次に中入羽の歌をうたう
〽我々は ごまうじゃくはい引つれて これのお庭で御免ましませ
〽昔より さんせち御礼はありと聞く 一礼を申してたてやわがつれ一踊りして円陣をつくり、更に一踊りあってやむ。この入羽と中入羽とは、どこへ行っても最初に必ず踊られる。以上の後、好みの庭の踊になる。庭の踊の陣形は曲により色々変る。
<鹿妻鹿踊りの種類>
入羽・中入羽
雌鹿隠し(めじか・かくし)
鹿の子踊り
綱踊り
案山子踊り
墓踊り
その他の踊り
投草
公開日:
最終更新日:2014/11/03