墓踊り(はかおどり)
墓踊
鹿妻の人達の厚意で、小雨の中を或る農家の庭で、特にこの墓踊を演じていただいた。
庭の正面に、蓙の上に机を置き、供養をしようとする人の位牌をその上に飾り、左右に花を供え、又前に水を上げ、灯明を灯し、線香を立てる。
はじめ入羽の時の様に、基本の体形で舞いながら出、位牌を中にして一列の逆まわりにまわり、次に順まわりにめぐり、位牌を囲む様に、位牌に向って正面に中立、両前立を左右両端にして、半円形になるように位置を占める。一同は両膝をつき、中立が歌い出すと、一同もこれに和す。皆々静かに太鼓の縁を叩いて拍子をとる。やがて中立は進み出て位牌の前に坐し、合掌し、水の入った茶碗を左手にとり、一茎のボンボンの花を右手にとっていただき、是を以て三度程位牌の上に水をかける。
次に線香を上げ、合掌をして退る。次いで左方の前立右方の前立、その他の者も順次に出て同様に回向をする。この間、回向に立たない他の者は坐したまま歌を歌い続ける。
〽燭台の壇の上かざりおき いはい仏は光ましませ
〽七月はもののあはれな月なれば 野でも山でもあぶら火を焚く
〽天竺のだるまが池の蓮の葉を 申しおろしてよねをもりする(つみするトモ)
〽みそはぎや よそで見たけなみそはぎや 今年手に持ち 水を手向けん
〽我々は ごもうじゃくはい引連れて 亡者にいとまかへせ友達
回向が終わると一同は立ち、右足を右方前に出し左足をこれに送り、次に、左足を左方前に踏み右足をこれに送るといった足どりで、左右しながら順まわりにめぐる。位牌の正面をすぎるときには、皆々桴を収め膝をかがめて通る。更に二まわりし、拍子が早目になり、今度は輪を大きく描いてまわり、とど8の字に庭を踏んで一列になり、中立の一振があって正面向に一礼して終りとする。
<鹿妻鹿踊りの種類>
入羽・中入羽
雌鹿隠し(めじか・かくし)
鹿の子踊り
綱踊り
案山子踊り
墓踊り
その他の踊り
投草
公開日:
最終更新日:2014/11/03